エンジニア向け分譲マンションのスペックの見方・用語一覧
家は人生最大の買い物、と言われるくらいなのである程度の知識がないと不安です。 自分が検討しているマンションが他のマンションと比較してどの程度のスペックを持っているのか?というのは、今まで賃貸や戸建て、古いマンションに住んでいた人にはなかなか判断がつきません。
ですが、ある程度スペックが一覧になっている資料はググった限り見当たりません。 マンション購入時にそのマンションに何があるのかはアピールされるので問題ありませんが、何がないのかを知るのは難しいので、ある程度世間で気にされているスペックを一覧してみます。
前提
超基本的な駅近が良い、風呂トイレ別、RC が良いなどの話はしません。 また間取りなど見てわかることもあまり取り上げません。 高級マンションとかは個人の主観で話してますが、究極住んだことないのでよくわかりません。
どこがエンジニア向け?
みんなこういうスペック好きじゃないですか? 特にインターネットのあたりがエンジニア向け情報です。現状分譲マンションのインターネットはガチャになっていることは知っておいた方がいいと思います。
構造
構造は他のスペックに大きく影響するものです。梁の位置や柱の位置によって窓や天井も影響を受けたり、リフォームではどうしようもない部分なので、こだわりを持った人が多い印象です。 鹿島建設は特殊な工法で良い部屋を作ることが多く、桜プレイスや加賀レジデンスの写真を見て自分の部屋と比較すれば、ある程度違いがわかると思います。
- 逆梁・アウトフレーム
- 梁の場所が逆になったり、柱が部屋の外にある構造です。柱は専有面積に含まれるため、柱は部屋にない方がいいです。「ベランダ側は部屋の外に柱があるが、廊下側は室内に柱が食い込んでいる」など、どの程度アウトフレームにしているか注目されます。廊下側までちゃんとアウトフレームになっているものもあります。また、特殊な工法で建設されたマンションでは大きな柱がそもそもなかったりします。
- 二重床・二重天井
- メンテナンス性に優れるとされています。最近のマンションではある程度装備されていますが、コストの問題から直床のものが増えています。
- 天井
- 天井高は 2,500mm 以上が一つの目安です。高級なものだと 2,700mm などになってきます。天井は配管や梁の都合上一部低くなり、これを下がり天井といいます。当然天井は高くフラットなもののほうが良いですが、高級なマンションだと折り上げ天井など意匠をこらしたものがでてきます。
- 内廊下
- 廊下がホテルのように完全に建物内にあるものです。メリット・デメリットがありますが、一般に内廊下の方が良いとされます。内廊下にすることによって廊下側に窓を作ることができなくなるため、行灯部屋と呼ばれる窓のない部屋が生まれることがあります。
- 床
- フローリングが一般的で和室は消滅しつつあります。高級なものだとタイル貼りになってきます。水回り、リビングの順でタイル貼りになるイメージです。
- 床暖房
- 最近はなかったりもしますが、TES というガス式の床暖房の方がランニングコストが低く良いと言われています。
- スラブ厚・境界壁
- 床の厚さ・壁です。湿式かどうかスラブ厚は何 mm かなど一部こだわりを持っている人もいますが、多くの人は気にしていません。スラブ厚は本当にそれぞれで一部マンションはとんでもない厚さだったりします。
- 免震・制震
- 免震のマンションの方が揺れが少なく良いと言われています。大規模なタワマンなどに採用されますが詳しくありません。
- アルコープ・ポーチ
- 深さなどを気にされます。玄関前にゆとりがある方が良いとされます。
- リビングイン
- 各部屋がリビングとつながっているか気にされます。一般にリビングと直接部屋がつながっていることは良いとはされませんが、採光や窓面の問題からいくつかの部屋がリビングインとなることがあります。内廊下など窓面に限りがある構造の場合、行灯部屋回避のためにリビングインが発生しやすくなります。
専有部分?
空調
- エアコン・天カセ
- 分譲時にはエアコンが全室にない場合の方が多いです。天井カセットエアコンと呼ばれる天井に埋め込まれているエアコンの方が見た目がスッキリしており高価です。また、天カセの場合は分譲時から設置されます。エアコンが天カセかどうかは高級マンションかどうかの一つの目安になっているイメージです。
- 換気
- 鉄筋のマンションは気密性が高いため、換気のための穴がどこかにあります。いわゆる壁ボコという壁に穴が開いているパターンがほとんどです。高級になると天井吸気になり壁ボコではなくなったりします。その他、換気扇のスイッチと連動して給気口が開閉したりします。
- 熱交換換気
- 換気時に冷たい空気や熱い空気を逃したり入れたりしない設備です。高級マンションにしか装備されていません。
- 床快full
- 野村の全館空調システムです。一部マンションでは戸建てのようにこのような全館空調システムが出てきています。
- エアコン室外機の場所
- 室外機に目隠しがついていたりします。廊下側に置いてある室外機も廊下を歩く人に直接風が当たらないように工夫していたりします。
キッチン
水回りは戸建てに比べてかなりスペックが落ちると思います。Miele など海外の大型食洗機は本当に高級なマンションにしか装備されません。 一方でディスポーザーは集合住宅ならではの設備と言えます。
- ディスポーザー
- 戸建てには設置しづらい装備でマンションならではです。一度知ると元の生活には戻れない、と言われるほど強力なのでディスポーザーのありなしは意識した方が良さそうです。規模が大きいほど設置しやすい設備なので、小規模だと高額なマンションでもなかったりします。
- 食洗機
- 備え付けの食洗機があるかないかですが、ない場合には後付は意外と大変なこともあるらしいので注意した方が良さそうです。スペースの問題や電気の配線・配管の問題など素人では判断しづらく、選べるのであれば備え付けのものがあったほうが無難だと思います。
- シンク・水栓など
- 水栓がタッチレスになっていたり、浄水器があったりなかったりなどします。シンクが流れやすくなっていたり静音仕様だったりなどあります。
- 食器棚・収納
- 食器棚がいわゆる造作で設置されているかどうかで違いがあり、新築時オプションであったりなかったりします。当然作り付けであった方が良いとされます。その他、扉ががゆっくりしまるソフトクローズが採用されているか、引き出しが完全に外に出るかなど細かい違いがあります。
- キッチン天板
- 天然石が良いなど言われています。ある程度高級なマンションでないと天然石になりません。
- パントリー
- 戸建てでは一般的な装備ですが、マンションにはあったりなかったりします。あっても小さいことがほとんどです。
風呂・脱衣室
- 風呂サイズ
- 1418 が一つの基準になります。これより大きいか小さいかが風呂が大きい・小さいの基準になりそうです。
- 風呂照明
- 壁ボコのライトよりも天井に埋め込まれたダウンライトの方が良いと言われています。最近のものだとライン型の LED 照明になっています。
- 浴室タイル貼り
- 高級マンションだと風呂がタイル貼りになったり排水溝の蓋がステンレスになったりします。高級マンションかどうか一つの目安になっているイメージです。
- 洗面
- ダブルボールと呼ばれる洗面台が2つつながったような洗面台があります。高級マンションかどうか一つの目安になっていそうです。三面鏡裏の収納は各社こだわりポイントがありそれぞれ細かい違いがあります。
- 床タイル
- そのままです。クッションフロアより良いと言われます。
- 洗濯機置き場上吊り戸棚
- 洗濯機置き場の上の戸棚があったりなかったりします。
- リネン庫
- 狭い脱衣室でもがんばって収納が設置されていたりします。
トイレ
トイレは手洗い台があるかどうかが大きな違いになります。ローシルエットトイレはトイレを流したときに手洗いのための水が流れないので、手洗台がない場合にはトイレもローシルエットにできなくなります(手を洗わない人もいる?)。その他床がタイル貼りになっているか、手洗いのカウンターの大きさや収納にも違いがあります。
窓
窓は正確には共有部分にあたりますが、ここで解説します。窓はどうでも良いと思われがちかもしれませんが、一度良いものを知ると元に戻れないほどに生活の質に違いが出ると言われています。特に日本は窓後進国と言われているらしく、こだわる人が少ないのかもしれません。
- サッシ・二重サッシ・二重窓
- T-2、T-3 サッシなど防音性・断熱性が良いサッシ・規格があります。また、直感に反するかと思いますが金属のものよりも樹脂や木製のサッシが良いとされています。特にサッシ(窓)が二重になっているものは高スペックで、断熱性・防音性が高いと言われています。
- サッシ高
- サッシ高は 2,200 mm 以上のものがハイサッシと主張されることが多いです。サッシ高は高ければ良いとされており、天井から床まであるものはフルハイサッシと呼ばれ、主に高級マンションでしか採用されません。2,100mm はまぁハイサッシ?2,300 mm 以上はすごいと言われていそうです。タワマンなどの逆梁工法のマンションで窓部分がカウンターになっているものがありますが、カウンター部分も専有面積・部屋面積に計算されるため注意しましょう。
- 複層ガラス
- ガラスが二重・三重になっているものです。最近の分譲マンションでは大体二重までは採用されていますが、中古にはまだまだ単板があるので注意が必要です。Low-E などの工夫によってさらに断熱性を高めたものがありますが、分譲マンションでも角部屋や北向きなど一部の部屋にしか採用されていなかったりします。また、リビングのみ複層などもあるため全窓複層ガラスかどうかは確認が必要です。
- 可動ルーバー面格子
- 外廊下のマンションの場合には廊下側に窓が設置されている間取りが多いです。廊下は共用部なので、そこからの視線を遮るためや防犯の面から、可動ルーバー面格子が装備されている場合があります。可動ルーバー面格子は単なる鉄格子よりも高級な装備です。
- 網入りガラスについて
- 窓に金属の網が入っているものです。条件によって法的に必要とされているため、ある程度仕方ありませんがない方がクリアで良いです。また網入りガラス部分の窓は複層ガラスになっていない、というパターンもあるので要確認です。
- 連窓・コーナーガラス
- リビングの窓が何枚もあったりします。また、角部屋の場合に部屋の角が柱ではなく、ガラスになる場合があります。高級マンションでしか装備されないイメージです。
- 腰高窓
- 小さい窓です。ベランダがないと腰高になったり、ベランダがあっても腰高になったりします。
- カーテンボックス・カーテンレール
- カーテンボックスは天井や下がり天井部分に埋め込まれたもののほうが良いとされています。古い、安いマンションだとカーテンレールが壁からにょーんと飛び出ます。ハイサッシやフルハイサッシと呼ばれるサッシの場合には、カーテンボックスが天井にある場合があります。
ベランダ
ベランダは正確には共有部分ですが、ここで解説します。
- 手摺の素材
- タワマンなどでは眺望のために手摺に透明なガラスを採用したりします。外観デザインの問題から部屋によって素材が変わります。
- スロップシンク
- ベランダに水栓・シンクが付きます。高級だからある、というわけでもないようであったりなかったりします。
- ベランダ床
- オプションで室内のフローリングと似た素材にしたりなどがあります。
玄関・鍵・セキュリティ
戸建てと違い、玄関の断熱性についてこだわっている人はあまりいません。 おそらく断熱性は低いものが多く、外廊下だと玄関が結露しがちです。一方で内廊下だとそれほど断熱性に意味を持ちません。
鍵は最近はラクセスキーなどあります。おそらくググった方が早いですが、鍵をカバンやポケットに入れたままオートロックを解錠したり、エレベーターに乗れたり、玄関の鍵を開けたりできるものがあります。マンションによっては自分の Suica などを登録しオートロックを解除できるものがあります。 最近になって進化している部分で、築古と築浅で結構違います。
玄関の鍵は後付で「スマホで解錠できるように」などできますが、オートロックの解錠方法やエレベーターのセキュリティなどはどうしようもない部分です。
また、玄関前インターホンにカメラがあるかないかも違います。
インターネット・有線 LAN
あきらかに最近のマンションほどスペックが落ちている部分です。VDSL はさすがになくなっていますが、LAN 配線などがあります。
さらにおそろしいことにインターネット回線は共有のものが増えています。 むしろインターネット回線が共有じゃないものを探す方が難しいと言った方が正しいまであります。
非オタクはインターネットは無料だったり共有ですぐ使えた方が良い、という考えのようです(もしくは管理会社の大事な中抜き要素)。 高級だから各戸に光ファイバーが配備されているか、というとそうでもなくインターネットが快適かどうかはガチャになっているのが現状です。ここは声を大にして改善を要求していかないとダメな部分だと思います。 個別に回線を引くのはかなりハードルが高く、最悪の場合改善が不可能な場合もありそうです(おそらく一人で問題提起してもどうしようもなく、ほぼ不可能では?)。
さらに最近は各部屋に LAN コンセント(いわゆるマルチメディアコンセント)がなくなってきており、リビングにしか有線 LAN 接続口がなかったりします。パークタワー勝どきなど高額なマンションでも同様です。非オタクにとってはインターネットは無線で十分なようです。
逆に 10 年程度前のマンションであれば各戸まで光ファイバーが配備されており、LAN コンセントも各部屋に装備されていたりします。
共用部など?
管理費や修繕積立金に影響することを知る必要がありそうです。新しいマンションでは古いマンションに比べて設備・サービスが悪いにも関わらず管理費が高いのが当たり前になってきています。また駐車料金も古いマンションの方が安いことが多いです。
共用施設
ジム、バー、ラウンジ、キッズルーム、ワークスペースなどいろいろあります。これがないとダメという意見はあまり見ないですが何故か人気と言われています。設備の維持・管理費は毎月の管理費・修繕積立金に影響します。
サービス
有名なサービスとしては下記があります。これらも毎月の支払いに関連があります。
- コンシェルジュ
- 色々してくれるらしいです。
- 各階ゴミ置き場
- 各階ごとにゴミ置き場があります。一度知るとない生活には戻れないらしいです。高級マンションになると各部屋ゴミ置き場になります。各階にゴミ置き場がある都合上、回収時にエレベーターを使用することになりますが非常用エレベーターがある場合にはそちらが使われ、住民の動線に影響しません。逆に言えば非常用エレベーターがない場合、普通のエレベーターが使用されます。また、ゴミ置き場の扉が二重になっているかなど、細かい違いもあります。二重になっていればゴミの臭いが直接廊下に流れないなどあります。
- 各階宅配ボックス
- ほぼ同上ですが、高級マンションにしかありません。誰がここまで荷物運んでるんですか?
- エレベーターの数・停止フロア
- 戸数に対してのエレベーターの数は意識されます。また、高層用エレベーターも低層用エレベーターも利用できるフロアは若干値段が違ったりします。非常用エレベーターの有無は各階ゴミ置き場とも関わるため意識されます。
- 各種動線
- 各種動線に屋根があるかなど色々気にすることはあります。また、エントランスが 1F になく、エレベーターを必ず二回経由しないとダメなマンションもあります。
駐車場
車を持っていないと何が何だかわからないポイントかと思いますが、持っている人にとっては死活問題なので知っておく必要がありそうです。 また、当然ながら管理費や修繕積立金にも影響します。 自走式・平置きである方が良く、機械式、タワー式と悪くなります。設置率も大事です。 古いマンションほど充実しているケースが多く、駐車料金も安いです。 都心ほど設置率は低くなりがちですが、古いマンションでは駅近なのに自走式 100% のものがあったりします。
高級マンションでは車の利用率も増えるので設置率は高くなります。また、自走式地下駐車場が一番良い印象を持たれていそう?です。
駐輪場
同上です。設置率もファミリー向けのマンションであれば 200% あるかないかが目安になっていそうです。
長期優良住宅、ZEH など
住宅ローン減税に影響することなので、調べて認識しておいたほうが良さそうです。